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■ 140余年もの伝統 |
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楢岡焼の歴史は140年以上にものぼります。これは、秋田県内で最も長い歴史をもつ焼物です。楢岡焼が始まる前にも、白岩焼をはじめいくつかの窯元がありましたが、それらは全て絶えてしまいました。(現在、再興白岩焼というのはあります)
楢岡焼では、かつては大瓶をはじめとした品物を作り、周辺住民に供給してきました。時代とともに作る品物は大物中心から小物、つまり食器中心へと移ってきましたが、それでも人々の暮らしに密着した焼物を作り続けてきたことに変わりはありません。土を活かし、装飾を控え、使いやすさと温もり、そして美しさを追及しながら現在に至ります。
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■ 地元で採取された土 |
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焼物で最も大切なものは土(粘土)です。近年、電話一本で世界各地の原料が手に入るようになったため、個人の陶芸家はもちろん、伝統的と言われる窯元でさえも原料屋から土を購入するというのが珍しくなくなりました。しかし、私共は今なお地元の土を採取し続けています。決して使いやすい土ではありませんし、使えるようになるまで非常に多くの労力を要しますが、地元の土を使うことで伝統を継承し、楢岡の個性を出せると考えております。
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■ 青さが際立つ海鼠釉(なまこゆう) |
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品物にたっぷりとかけられた釉薬、私共が使うこの釉薬は一般に海鼠釉と呼ばれています。釉薬中で複雑な乳濁現象が起きることで流紋や斑紋が生じ、それの一部が海生生物のナマコの地肌に似ていることからこう呼ばれています。楢岡焼で使用する釉薬は主原料に白土(はくど)と呼ばれるものを使っているため、全国的にも非常に珍しい青みと深みを有する海鼠釉となっているのです。
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■ 昔ながらの登り窯 |
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現在、焼物の多くは手軽で安定した結果が得られる電気窯やガス窯で焼かれています。私共はガス窯も併用するものの、いまだに4部屋からなる登り窯も使用しております。薪を使って焚きますので、多大な労力がいりますし、また焼成結果が安定しておりません。しかし、そこから名品が生まれることもある上、炎を操って焼くという陶芸家としての誇りもあるため、登り窯を焚き続けるのです。
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